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ドライエッチング工程における「石英チャンバー」の歩留まりへの影響と 「石英加工」についての考察

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1.はじめに

「石英加工.com」をご覧いただいている皆様へ

半導体製造工程におけるドライエッチング工程(プラズマエッチング装置)に使用される「石英チャンバー」は半導体製造には欠かせないパーツです。

この「石英チャンバー」がドライエッチング工程で非常に重要なパーツであるのはどのような理由なのか?

「石英チャンバー」をお使いの技術者や製造のご担当者の方は「石英チャンバー」が原因で歩留まりに影響が出たり、交換の頻度が増えてコストの増加に繋がったりするお悩みもあるかと思います。

「石英チャンバー」の果たす役割と問題点(課題)、そして今後の石英パーツ製造のあり方などを本ブログにおいて考えていきたいと思います。

2.半導体製造工程における「ドライエッチング(プラズマエッチング)工程」とは? その工程の概略と「石英チャンバー」が使用される理由

2-1.「ドライエッチング(プラズマエッチング)」とは?

半導体製造工程におけるドライエッチングは、半導体ウェハーの表面にある特定の部分を選択的に削るための工程です。
この工程は主に高精細なパターン形成や微細構造の作製に使用され、半導体デバイスの性能向上に重要な役割を果たします。

ドライエッチングは、ウェハー表面にプラズマ(気体を高エネルギーでイオン化した状態)を用いて化学反応や物理的なエネルギーで材料を除去する技術です。

これにより、フォトリソグラフィで形成されたレジストマスクに基づいて、微細なパターンを加工します。

ドライエッチングは、ウェットエッチング(液体を用いる方法)よりもパターンの精密さを高めやすく、アスペクト比(深さと幅の比)が高い構造を作るのに適しています。

これにより、トランジスタやメモリなどの微細化技術が進展しました。

2-2.「ドライエッチング工程」で「石英チャンバー」が使われる理由

ドライエッチング工程で石英チャンバーが使用される理由は、石英の特性が工程条件に非常に適しているためです。

3.「石英チャンバー」の歩留まりへの影響について

3-1「石英チャンバー」内部の球面やR形状の状態が歩留まりに与える影響について

「石英チャンバー」の内部の球面やR形状の状態が指定された状態の球面やRの形状をしていないと歩留まりに影響を与えることがあります。

このように石英チャンバー内部の球面の状態は歩留まりに影響を与えることがあります。

石英チャンバーの製作時に図面の指定通りに製作しても使用しているうちにプラズマやエッチングガスによる摩耗の進行などにより少しずつ球面の状態は変化してきます。

これらの問題を軽減するためには、定期的な形状検査や摩耗状態のモニタリングなどをおこなっていく必要があります。

図1

3-2「石英チャンバー」の肉厚の状態が歩留まりに与える影響について 具体的な影響

このように石英チャンバーの「肉厚」の状態は歩留まりに影響を与えることがあります。

石英チャンバーの製作時に図面の指定通りに製作しても使用しているうちにプラズマやエッチングガスによる摩耗の進行などにより少しずつ肉厚の状態は変化してきます。

これらの問題を軽減するためには、定期的な形状検査や摩耗状態のモニタリングなどをおこなっていく必要があります。

図2

特に図2の肉厚※1と※2では※2のところの肉厚が薄くなりがちです。ここが薄くなると特にプラズマによるエッチングが促進されチャンバー寿命が短くなります。

このように「球面の状態」と「肉厚」が均一であることはドライエッチング工程の安定性を高め歩留まり向上には欠かせない要素ですので、確り管理していくことが求められます。

4.最後に

ドライエッチング工程では「石英チャンバー」が重要な役割を果たしており、「石英チャンバー」が歩留まりに与える影響について考えてきました。

特に歩留まりに影響を与える「チャンバー内部の球面の状態」と「チャンバーの肉厚」については「石英の加工技術」に依存する部分が多いため、本ブログで特に取り上げてみました。

チャンバー内部の球面の状態をきれいな球面(凸凹が無く滑らかな状態)で指定されたRの形状になっていないとエッチングが均一にできないこともあります。

この内面をきれいな球面にする、あるいは、肉厚を均一に保ち指定の形状に加工するには高度な技術と経験が必要です。

近年は自動化も進みつつある石英の加工ですが、まだまだ高い加工技術を持った職人により製造されている部分も多く残されており、職人の経験と技術が石英チャンバーの製造を支えています。

我々「石英加工.com」では、多くの経験と高い技術を持った工場のネットワークを多数有しており石英チャンバーの製造と供給を安定的に支えています。

しかし「石英チャンバーの加工」においての課題もあります。それは消耗品である「石英チャンバー」を安定的に安価に納入していくことです。

そのための方策として、チャンバーの形状を職人による加工技術だけに頼ることなく、「金型」のような「型」を用いて比較的容易に製造ができ、短納期で安価に製造ができる技術の開発もされてきており実用化も近づいています。

日々進化する半導体の製造工程に合わせて「石英加工の技術」も日々進化していかなくてはなりません。

「石英加工.com」では加工職人の技術の向上、・継承はもちろん、製造の自動化・効率化、精密加工に対応した検査設備やその体制などを整えて、お客様からのご要望に日々お応えしていきたいと考えております。

加工についてご質問などがございましたらこちらからお寄せください。